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店長日記
野村萬斎 狂言の現在2011
2011年05月28日
 4月に野村萬斎さんの狂言が鹿児島でありました。毎年、年に一度、これを観るのが私の楽しみのひとつです。今年の演目は「狐塚」、「吹取」、「月見座頭」でした。なかでも「月見座頭」は、とても心に残りました。
内容は、仲秋の名月。河原で虫の声に聞き惚れる座頭に、月見の男が声をかけ、歌を詠み合い意気投合します。謡い舞いつ酒宴を楽しみ、和やかに別れた後、急にその男は引き返し、座頭を突き倒しますが、座頭は、それが先ほどの人とは思わず、世の中には、先ほどの人とは違い、このようなむごいことをする人もいるものだと嘆くというもの。
人間の心には、美しさと恐ろしさが同居し、それがある瞬間、面目と裏目が入れ代わる。だれもが持っている心の闇を、ぐっと押しだした狂言だと思います。明と暗。この対極にあるものを萬斎さんは赤と黒といった対照的な色合いで演じていたような気がしました。以前、お父様の万作さんが盲目の主人公を演じたのを観たことがあります。これは、途中、神の御加護により目が見えるようになるのですが、この見えない、見えるというやはり対照的な現象を万作さんは同じ色の強弱で演じられた、そういう印象を受けました。どちらがどうというのでなく、その人の芸だと思います。
今年は万之介さんの演目がなく、改めて「お亡くなりになったのだな」ということを実感したわけですが、「山椒は小粒でもぴりりと辛い」という言葉がぴったりの万之介さんの演技をふと思い出しました。
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