店長日記

画像: 高砂(観世流)

高砂(観世流)

2011年09月16日

8月に、「能・狂言」鹿児島公演を観に行きました。能の演目は「高砂」。結婚式で御馴染の「高砂やこの浦船に帆を上げて・・・・・・」といえばピンとくると思います。
「高砂」のあらすじは阿蘇神社の神主、友成が都見物の途中、播磨の古今和歌集の歌『高砂住之江の松も相生のやうに覚え』にある高砂の松に立ち寄ります。松の話を聞くために里人を待っていると松の木陰を掃き清める老夫婦に出会います。この老夫婦に松について問いかけますと「この松と住吉の松は共に相生の松と言われ、遠く離れていますが心が通い合っているという歌があります。実は私達も高砂と住吉に離れて住んでいますが、長い間心を通い寄せ仲睦まじく幸せに暮らしています。植物の松でさえ離れていても心が通い合うのですから人間の私達夫婦においても「相生」という言葉通り、仲良く互いに老いているのです。これこそまさに「相生=相老」と言う事なのです」と答えます。更に老夫婦は松にまつわる物語を故事に例え語り、また歌道が繁栄する今の世の有難さを讃えます。そして老夫婦は、自分たちは高砂・住吉の松の精霊であることを明かし「住吉で待っています」と言い残し小舟に乗って消えていきます。友成もまた小舟に乗り、松の精霊を追って住吉にたどり着きます。すると月光の中より住吉明神が現れ美しい月光の下、千秋万歳を祝って颯爽と舞を舞い、悪魔を払い、人々の長寿を寿ぎ、平穏な世を祝福するというもの。(日本の古典 能・狂言 鹿児島公演パンフレット参照)

 あまり能は観たことがありませんが、どちらかといえば亡霊ものが多く、今回のような神様がシテのものは初めて観ました。初番目物というのでしょうか。ここのところ、世の中が暗い話題が多い中、「高砂」のような演目は光が差すような気がします。平成の世が穏やかに治まりますよう住吉明神に舞って頂きたく思います。
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